Since of cruel cross Vol.1

She across〜


ふと気がついた。
気がついたと表現するのもおかしな話だけど
正直に言うと、意識があったのか無かったのかも覚えてない。
それは置いといて、目の前にあるものを見てみる。
白い容器の中に食べ物があって、それが透明な膜で包まれている物が多数。
カラフルな彩色の本のような物が多数。
用途の解からない物も多数。
CD-Rとか書いてあるけど何に使うのだろう。
もうちょっと上の方を見てみると、ヨーソンと書かれている看板がある。
何かの店なのかなーと推測してみる。
「よーぅ!君ずいぶん変わった服装だね。天使のマネかい?」
突然誰かに話しかけられた。
だぶだぶした上着とズボン。
髪は中途半端に長くて茶色い。
はっきり言って、第一印象はかなり悪い。
顔も何かニヤついてるし・・・。
「もしよかったら遊びに行かない?」
そう言いつつ腕をつかもうとしてくる。
私は慌てて後ろへ下がりつつ言う。
「堕ちたとはいえ私も天使の端くれ。それ以上近づくとどうなるか解っているの?」
「さぁねー。俺の欲望でも叶えてくれるのか?」
男の顔がみっともない笑みに歪む。
「ならば仕方が無い。聖なる光よ!邪悪なる存在を貫け!!」
魔法の詠唱は空しく響き、かざした手からは何もでない。
周りの人が何事かとこちらに振り向く。
「へっへっへ。」
男は非常に不快この上なく笑って言う。
「なんだなんだなんだ〜〜!!聖なる光だって!?それじゃあ
 光じゃねぇけど俺の白いやつをぐべああぁぁ!!」
笑い方といい話し方といい下品な男が、下品な声を出して倒れた。
正確に言うと誰かに殴られたんだけど。
「え〜と・・・・・・。だ、大丈夫?」
誰かを殴った後にしてはずいぶんおどおどした感じの男だった。
「え、ええ。大丈夫です。助かりました。」
「よかった。いつもはこんな事はしないで見て見ぬふりをしちゃうんだけど
 なぜか今だけは助けようと思ったんだ。それに・・・。」
「それに?」
「足元に羽が落ちているからもしかしてって思って。」
その男の言うとおり、足元にはいくつかの羽が落ちていた。
「そう。あなたの思ったとおりの存在に私は近いと思う。」
すると男はこう言ってきた。
「やっぱりかー。ところで行くあてはあるの?」
「いや。何処も・・・。」
そういうと腕を組んで少し下を向いて考えて
「それじゃあどこかの不動産会社に行ってみようか。」
「ふどうさん?」
「そ。家とか土地とか貸してくれる会社の事さ。そこに行って家を借りよう。」
この世界は私の解らない事だらけだ。
早速、家を貸してくれるという「ふどうさんがいしゃ」という所に行く事になった。

 その「ふどうさんがいしゃ」という所は歩いて20分くらいだそうだ。
それまでずっと黙って歩き続けるのもどうかと思って何か訊ねようと
考えていると、彼の方から話しかけてきた。
「そういえば君の名前はなんていうの?あ、嫌だったら別に言わなくても
 いいんだけど。」
「いえ、嫌じゃないですよ。名前はマリア・リュミエール。マリアと呼んで下さい。」
「俺の名前は和泉ひかる。よろしく、マリアさん。」
「ええ、こちらこそよろしく。」
「ところで唐突だけど、好きな食べ物ってある?」
「ありますよ。例えば〜」
等と話している内にその「ふどうさんがいしゃ」という所に着いた。
「ところで〜。」
「何ですか?」
「お金持ってる?」
「・・・。」
「・・・・・・。」
ちょっと嫌な空気だ。
私はともかく、彼も手詰まりなのだろうか。
必死にアレコレと考えているようだ。
私も色々考えようとするが、この世界は解らないものが多くて考えようが無い。
沈黙が数分続いた。
それを破ったのは彼、ひかるの方だった。
「うーん。困ったなー。・・・えーと、とりあえず嫌じゃなかったら家に来る?」
「え、でも、それではひかるさんに迷惑がかかってしまいますけど・・・。」
そういうと、笑いつつ
「いーよいーよ。お金が無くても家事の手伝いさえしてくれれば大丈夫だから。」
「それじゃあ、お世話になるかな。」
「よし、決まり!!そいじゃ、早速行こうか。」
「はい。」

結局、彼の住んでいる所に着いたのは10時くらいになってからだった。
いつまでもこの服でいるわけには行かないので、服どうしましょうか・・・と
言ってみたら、明日バイトの給料日だからと言って買ってくれたのだ。
それにしても、最初に話した(?)人はちょっと、いや、かなり嫌な人だったけど
この世界にはひかるのようないい人もいるんだなーって思う。
そして、私は今ーー彼曰く「わしつ」という所で、「入居希望及びその理由書」と
書かれた紙が乗っかっているテーブルの前にいる。
大雑把でもいいから書いとけ、との事だ。
入居するためのテストのようなものだろうか。
とりあえず、何か書こう。

・・・・・・

「マリアー。書いた?」
「ええ。書きましたよ。」
「さてと、とりあえず何も無い部屋だけど待ってて。大家に見せてくるから。」
「はい。ところで大家さんはどこにいるのですか?」
「ああ、離れにいるよ。ちょっとこっち来て。」
彼の言うとおりに、近くに行く。
そこには窓があるのだが、そこからは山が見える。
「この山とその周辺は、大家さん。まぁ、俺の母方の爺さんなんだけどね、
 の所有地なんだ。」
「そうなんですか。すごいですね。」
そういうと、笑いながらそんなこと無いよと言って部屋を出て行った。

今日は色々な事がありました。
一時はどうなるか心配でしたが、和泉ひかるさんという人によって助けられました。
さらに、いつまでか分からないけどしばらくお世話になる事になりました。
それは、杉奈荘というところです。
これからももしかしたら色々な事があるでしょう。
でも、乗り越えて見せます。
たぶん、大丈夫だとは思いますけど。
まず、家具とか日用品をそろえないとね。
とりあえず、「あるばいと」っていうのをやってお金を稼ごう。
明日、あるばいとを探すことになりました。
ちょっと不安だけど楽しみでもあります。
最後に、これからも迷惑をかける事になるでしょう
けどよろしくお願いしますね。
ひかるさん。